2023年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は、日本中が熱狂の渦に包まれ、侍ジャパンが見事に世界一を奪還しました。しかし、その盛り上がりの裏側で、常に議論の的となっていたのが「テレビ放送の地域格差」です。
特にテレビ朝日系列やTBS系列の局がない地域にお住まいの方々にとって、地上波で試合を観戦できるかどうかは切実な問題でした。この記事では、一年前のWBC当時、どのような意見が飛び交っていたのか、そして「見られない地域」の人々に対して世間はどのような反応を示していたのかを詳しく振り返ります。
2023年大会の日本戦は、主に以下の3つの媒体で放送・配信されました。
ここで問題となるのが、地上波の「系列局」の存在です。日本には民放5系列がありますが、都道府県によっては特定の系列局が存在しない、いわゆる「テレビ空白地帯」が存在します。
前回大会で特に話題になったのは、テレビ朝日系列の局がない地域です。具体的には、以下のような県が挙げられます。
これらの地域では、地上波で「日本戦が放送されているはずの時間に、別の番組が流れている」という状況が発生しました。SNS上では「WBCが見られないなんて日本じゃないみたいだ」「国民的行事なのに疎外感がある」といった悲痛な声が多く上がっていました。
質問者様が懸念されている「見られない人のことは知るか!」という冷淡な意見があったのかどうか。結論から言うと、「一部にはあったが、それ以上に『Amazon Primeで見ればいい』という代替案の提示が圧倒的に多かった」というのが実情です。
2023年大会がそれ以前と決定的に違ったのは、Amazon Prime Video(アマプラ)によるライブ配信があったことです。スマホやPC、Fire TV Stickなどがあれば、テレビの系列局に関係なく全国どこでも視聴可能でした。
そのため、ネット上の掲示板やSNSでの主な意見は以下のように分かれていました。
実際には「知るか!」と突き放すというよりは、「ネット配信があるんだから、もう地上波に固執しなくてもいいのでは?」という、時代の変化を象徴するような議論が活発でした。
一方で、深刻だったのは「ネット環境がない、または使い方がわからない高齢層」への影響です。「アマプラで見ればいい」という解決策は、若い世代には有効でしたが、普段テレビだけで情報を得ている層にとっては、WBCが実質的に「有料放送」や「視聴不可」になったことを意味しました。
この点については、「公共性の高いスポーツイベントをネット独占(あるいは系列局限定)にすることへの是非」として、多くのメディアでも議論されました。一年前も、決して「多数派が少数派を無視した」わけではなく、むしろ地方格差やデジタルデバイドの問題が浮き彫りになった形です。
次回のWBCや、直近の国際大会(プレミア12など)でも、同様の問題は繰り返されると予想されます。最近ではサッカーのワールドカップ予選がDAZN独占配信になるなど、「お金を払うか、ネット環境がある人だけが見られる」というクローズドな形に移行しつつあります。
「地上波で見られない」ことへの不満は、単なるわがままではなく、日本のテレビ放送制度が抱える「地域格差」という長年の課題を突いているのです。
2023年のWBCでは、地方で見られない人々に対して「アマプラがある」という強力な代替手段があったため、以前の大会ほど絶望的な状況ではありませんでした。しかし、それでも地上波放送の不備に対する不満は根強く、決して「見られない人は無視された」わけではありません。
むしろ、地方のファンが声を上げたことで、放送権のあり方やネット配信の重要性が再認識された一年だったと言えるでしょう。今後もこのような議論は続くと思われますが、私たちは技術の進化と伝統的な放送のバランスをどう取るべきか、考え続ける必要がありそうです。