現在、2026年2月12日。高市政権が発足してから約1年半が経過しました。2024年9月の総裁選で見事な逆転勝利を収め、日本初の女性首相となった高市早苗氏。その後の衆議院総選挙でも安定した支持を背景に勝利を収めた彼女の指導力に対し、党内からは「2027年の総裁選は無投票再選で良いのではないか」という声が一部で上がり始めています。
しかし、自民党という組織は常に「ポスト高市」を狙う勢力や、次回の国政選挙での議席維持を最優先する力学が働く場所です。本記事では、2027年秋に予定される自民党総裁選の行方と、その翌年に控える2028年参議院選挙が与える影響について、プロのファクトチェッカーの視点から最新情勢を解説します。
2024年の総裁選において、高市氏は決選投票で劇的な勝利を収めました。その背景には、保守層からの圧倒的な支持と、経済政策「サナエノミクス」への期待がありました。2026年現在の日本経済を見ると、積極的な財政出動と戦略的なエネルギー政策が功を奏し、株価は堅調に推移しています。また、外交・安保面でも「力による現状変更」を許さない姿勢が国際的に評価されており、内閣支持率は安定圏を維持しています。
「ここまで実績のあるトップをわざわざ変える必要があるのか?」という疑問は、有権者や党員の間では自然な反応と言えるでしょう。過去を振り返れば、中曽根政権や小泉政権、そして安倍長期政権のように、強力なリーダーシップを発揮するトップのもとでは、総裁選が形式化、あるいは無投票になるケースも存在しました。
自民党において「総裁選の無投票再選」は、決して容易なことではありません。直近では2015年の安倍晋三氏が無投票で再選されましたが、これは当時の安倍政権が野党に対して圧倒的な強さを誇り、党内に有力な対抗馬がいなかったという特殊な状況下での出来事でした。
2027年のケースを考えると、高市氏の政策に100%同意する勢力ばかりではありません。特に、財政再建を重視する「積極財政慎重派」や、アジア外交において対話重視を掲げる勢力にとっては、総裁選は自分たちの主張を党内に反映させるための「貴重なデモンストレーションの場」となります。そのため、「無投票」は現時点では現実的とは言い難いというのが、永田町の冷徹な見方です。
質問者様が指摘された通り、自民党議員が最も恐れているのは「選挙に落ちること」です。2027年の総裁選のわずか数ヶ月後には、2028年夏の参議院議員選挙が控えています。参院選は3年に一度、定数の半分が入れ替わる重要な選挙であり、ここで大敗すれば「ねじれ国会」が生じ、政権運営は一気に停滞します。
高市氏の強みは、明確な国家観と強力なメッセージ性です。これは都市部の保守層やネット世代には強く刺さりますが、一方で地方の農村部や、リベラル寄りの無党派層からは「右傾化が強すぎる」という警戒感を持たれるリスクも孕んでいます。
2028年参院選の勝敗を握るのは、地方の「1人区」です。ここで勝てる候補を擁立できるかどうかが、総裁選の判断基準となります。党内の実力者たちは、2026年以降の世論調査を注視し、「高市総理で地方選を戦い抜けるか」をシビアにジャッジすることになるでしょう。もし高市支持率に陰りが見えれば、「選挙の顔を変えるべきだ」という声が急速に高まるのは、自民党の歴史が証明しています。
2026年現在、高市氏に代わる「次」のリーダー候補も着々と準備を進めています。
これらの候補が、2027年総裁選に向けて「政策論争を行うべきだ」という大義名分のもとに出馬すれば、無投票という選択肢は消滅します。
2027年の総裁選が無投票、あるいは高市氏の圧倒的勝利に終わるためには、2026年中に以下の3つの課題をクリアする必要があります。
「サナエノミクス」が真に成功したと見なされるには、株価だけでなく、国民の実質賃金が物価上昇を明確に上回る状態を継続しなければなりません。2026年春闘の結果が芳しくなければ、経済政策への不信感から「総理交代」の隙を与えることになります。
高市氏が自身の悲願とする憲法改正において、どの程度の進展を見せられるかも重要です。保守層を繋ぎ止めるには具体的な成果が必要ですが、一方で慎重派を刺激しすぎれば、2028年参院選への不安材料となります。このバランス感覚が問われます。
かつての派閥解消を経て、自民党内のガバナンスは変化しましたが、依然として「政治とカネ」の問題には国民が敏感です。高市政権下で閣僚や党幹部のスキャンダルが相次げば、2027年再選のシナリオは容易に崩れ去ります。
結論として、2027年の総裁選が高市氏の「無投票再選」になる可能性は現時点では極めて低いと言わざるを得ません。自民党の活性化をアピールするためにも、あえて対抗馬を立てる「疑似政権交代」の演出を党が選択する可能性が高いからです。
ただし、「高市再選」自体は、現在の経済状況と支持率を維持できれば、非常に高い確率で実現するでしょう。2028年の参院選を勝ち抜くためには、高市氏の強力な発信力が必要不可欠だと党内が判断すれば、形式上の選挙を経て、より強固な基盤を持った「第2次高市政権」が誕生することになります。
読者の皆様は、今後の支持率の推移、特に「地方票」の動向に注目してください。2026年後半の地方選挙の結果こそが、2027年総裁選の最大の先行指標となります。
※この記事は2026年2月12日時点の情勢に基づいた予測・分析記事です。