現在開催中の2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピック。スキージャンプ競技において、これまでの常識を覆す大きな変更点として注目されているのが、男子団体戦に代わって導入された「スーパーチーム(Super Team)」です。「4人1組」で行われていた伝統的な団体戦がなぜ「2人1組」になったのか、そして勝敗を分ける独自のルールとは何なのか。プロのファクトチェッカーの視点で、最新情報を網羅的に解説します。
スーパーチームとは、1カ国あたり2名の選手で構成されるチーム戦のことです。これまでのオリンピックや世界選手権では、1チーム4名で競う「ラージヒル団体」がメインイベントでしたが、今大会(2026年ミラノ・コルティナ五輪)から男子もこのスーパーチーム形式が採用されました。
この種目は、もともと女子ジャンプの普及と競技のスピードアップを目的にFIS(国際スキー・スノーボード連盟)が考案し、ワールドカップでもテスト導入されてきました。そのエキサイティングな展開が好評を博し、ついにオリンピックの正式種目として男子でも採用されることになったのです。
最も大きな違いは、言うまでもなく「人数」ですが、それに付随して「試合のテンポ」と「逆転の可能性」が劇的に変化しています。
4名1組の団体戦の場合、トップレベルのジャンパーを4人揃えられる国はドイツ、オーストリア、ノルウェー、スロベニア、そして日本など一部の強豪国に限られていました。しかし、2名であれば、小規模な選手層の国でもメダル争いに食い込むことが可能です。これにより、今大会ではこれまで以上に多国籍な争いが展開されています。
4人団体戦は合計8回のジャンプ(4人×2本)が必要で、競技時間が長く間延びしがちでした。一方、スーパーチームは後述する「3ラウンド制」を採用しており、最後まで目が離せないスピード感のある試合運びが特徴です。
観戦する上で絶対に押さえておきたいのが、スーパーチーム特有の「サバイバル形式」のルールです。
エントリーしたすべての国(通常15〜20チーム前後)が各2回ずつジャンプします。2人の合計得点で順位が決まります。
第1ラウンドの結果を受け、上位12チームのみが第2ラウンドに進出します。ここでも2人が1回ずつ飛び、第1ラウンドからの累計得点で競います。この時点で、下位チームは脱落となります。
さらにスコアを伸ばした上位8チームだけが、運命のファイナルラウンドに進みます。最終的に計3本(1人あたり3本、チーム合計6本)のジャンプの総得点で順位が確定します。
【重要ポイント】
このように、ラウンドが進むごとに下位チームがカットされるため、一瞬のミスが致命傷になります。また、合計6本のジャンプが必要なため、個人の実力はもちろん、プレッシャーに負けないチームとしての安定感がより厳しく問われる形式となっています。
IOC(国際オリンピック委員会)とFISがこの変更に踏み切った背景には、いくつかの戦略的な理由があります。
本日2026年2月11日時点、ミラノ・コルティナ五輪のジャンプ会場であるプレダッツォでは、熱い戦いが続いています。日本代表にとって、このスーパーチームへの変更は「追い風」とも「試練」とも言えます。
小林陵侑選手という絶対的なエースを擁する日本にとって、もう一人の実力者が完璧なジャンプを見せれば、4人全員の調子を揃える必要がある4人団体よりも金メダルの確率は高まると評価されています。しかし、層の厚いオーストリアやドイツは、どの2人を組み合わせても強力なため、熾烈なメダル争いが繰り広げられています。
4人団体の「重厚感」も魅力的でしたが、スーパーチームの「スピード感」と「サバイバル感」は、現代のスポーツ観戦にマッチした非常にエキサイティングなものです。
2人だけで国を背負い、3回のラウンドを勝ち抜いていくスーパーチーム。ルールの違いを理解することで、ミラノ・コルティナ五輪のスキージャンプ観戦がより一層深く、面白いものになるはずです。日本代表の歴史的快挙に期待しましょう!