高校化学を学習していると、物質の状態を表す用語として登場する「アモルファス」。教科書や参考書によって、その日本語訳が「非晶質(ひしょうしつ)」と書かれていたり、「非結晶(ひけっしょう)」と書かれていたりすることがあります。
「テストや入試ではどちらを書けば正解なのか?」「この2つの言葉に厳密な違いはあるのか?」と疑問に思う受験生や学生は少なくありません。2026年現在の最新の学習指導要領および学術的な基準に基づき、プロのファクトチェッカーがこの疑問を詳しく解説します。
結論から申し上げます。高校化学の教科書(化学基礎・化学)および大学入学共通テストにおいて、アモルファスの日本語訳として最も適切であり、かつ標準的に使用されているのは「非晶質(ひしょうしつ)」です。
文部科学省の検定教科書においても、索引や本文で「アモルファス(非晶質)」と併記されるのが一般的です。一方で「非結晶」という言葉も日常用語や一部の古い文献、あるいは物理学の特定の文脈で見られることはありますが、現在の日本の化学教育においては「非晶質」という言葉で統一する流れが定着しています。
「結晶ではない(Non-crystalline)」という意味では、言葉の成り立ちとして「非結晶」も間違いではありません。しかし、学術的には以下の理由から「非晶質」が好まれます。
言葉の正誤だけでなく、その中身についても正しく理解しておくことが重要です。2026年度の入試でも頻出のポイントを整理しましょう。
通常、固体(結晶)は原子、分子、イオンが規則正しく配列していますが、アモルファスは粒子が不規則に並んだ状態で固定されています。これは、液体状態から急速に冷却された際、粒子が規則正しく並ぶ時間がなく固まってしまった状態と言えます。
結晶は一定の温度(融点)で固体から液体に変化しますが、非晶質は温度を上げていくと徐々に柔らかくなり、軟化していきます。このため、「明確な融点を持たず、軟化点を持つ」というのが、試験で非常によく問われる特徴です。
高校化学で覚えるべき非晶質の代表例は以下の通りです。
現在(2026年02月11日)、新学習指導要領が完全に定着し、大学入学共通テストでもより思考力や正確な用語の理解が問われるようになっています。答案作成時の注意点をまとめました。
もし記述試験で「アモルファスの和名を答えよ」と問われたら、迷わず「非晶質」と書いてください。「非結晶」と書いてもバツにされる可能性は低いですが、採点基準が教科書に準拠している以上、より安全なのは「非晶質」です。
厳密な意味で「非結晶」が間違いとされることは稀ですが、専門的な化学の文脈では「非結晶」という言葉はあまり使われません。例えば「非晶質合金(アモルファス合金)」を「非結晶合金」と呼ぶことは一般的ではありません。科学的な慣習に従うのが、得点への近道です。
「非晶質」と混同しやすい言葉に「多結晶(たけっしょう)」があります。ここも間違えやすいポイントなので整理しておきましょう。
多結晶とは、小さな結晶(微結晶)がたくさん集まってできている状態のことです。個々の微結晶の中は規則正しく粒子が並んでいるため、全体として不規則な「非晶質」とは全くの別物です。金属の多くは、見た目は均一でもミクロで見ると多結晶構造をしています。対してガラスなどは、ミクロで見ても配列がバラバラな「非晶質」です。
今回のファクトチェックの結果、高校化学におけるアモルファスの日本語訳は以下の通りです。
2026年の大学入試を控えている受験生の皆さんは、解答用紙には「非晶質」と記入するように心がけましょう。言葉の定義を正確に押さえることは、化学の深い理解への第一歩です。
※本記事は2026年2月時点の学習指導要領および学術的慣例に基づき執筆されています。