2026年現在、物価高騰対策の給付金や国民健康保険料の軽減措置など、「住民税非課税世帯」であることのメリットは非常に大きくなっています。一方で、株式投資の配当金(配当所得)がある方が、「良かれと思って確定申告をした結果、非課税世帯から外れてしまった」というトラブルが後を絶ちません。
本記事では、プロのファクトチェッカーの視点から、2024年(令和6年)度から完全適用された税制改正を踏まえ、配当所得がある方が住民税非課税世帯を維持するための絶対条件を徹底解説します。結論から申し上げますと、あなたのケースでは「確定申告をすること」が非課税世帯から外れる直接の原因になります。
まず、住民税非課税世帯とは何かをおさらいしましょう。住民税非課税世帯とは、世帯全員の「合計所得金額」が、自治体の定める一定基準以下である世帯を指します。
自治体によって多少異なりますが、一般的に単身者の場合、合計所得金額が「45万円(給与所得控除後の金額)」を超えると非課税ではなくなります。配当所得がこのラインを超えている場合、その所得が「合計所得金額」に算入されるかどうかが運命の分かれ道となります。
2023年(令和5年)以前は、「所得税は確定申告をして還付を受けるが、住民税は申告不要を選択する」という、いわゆる「課税方式の選択」が可能でした。これにより、所得税の還付を受けつつ、住民税上は所得をゼロとして扱い、非課税世帯の恩恵を受けるという「裏技」が使えていたのです。
しかし、2024年度(令和6年度)の個人住民税から、「所得税と住民税の課税方式を一致させる」というルールに変更されました。2026年現在、このルールは完全に定着しています。
【現在のルール】
質問者様は「収入はなく、配当所得がある(非課税ライン超え)」、かつ「特定口座(源泉徴収あり)」で運用されています。この状況における回答は以下の通りです。
A. 確定申告をしなければ、外れることはありません。
「源泉徴収ありの特定口座」に入っている配当金は、口座内で約20%(所得税15.315%、住民税5%)の税金が既に引かれています。これを「申告不要」として確定申告に出さなければ、住民税の判定にその所得は一切カウントされません。たとえ配当が1,000万円あっても、申告しなければ住民税上は「所得0円」として扱われ、非課税世帯を維持できます。
A. はい、ほぼ確実に外れます。
配当所得が非課税ライン(約45万円前後)を超えているとのことですので、確定申告書にその配当所得を記載して提出した瞬間、自治体はその金額をあなたの所得として認識します。その結果、住民税が課税されるだけでなく、世帯全員が非課税という条件を満たさなくなり、非課税世帯から脱落します。
多くの人が「配当控除を受けたい」「源泉徴収された所得税を返してほしい」という理由で確定申告をしますが、非課税世帯のメリットと比較すると、還付金(数千円〜数万円程度)よりも失う金額の方が圧倒的に大きくなる可能性が高いです。
国民健康保険料は「合計所得金額」を元に計算されます。確定申告をすると所得が増えるため、保険料が跳ね上がります。また、7割・5割・2割といった保険料の法定軽減措置も受けられなくなります。
近年、政府が頻繁に行っている「住民税非課税世帯への給付金(10万円前後など)」は、1円でも課税されれば対象外です。確定申告で数万円の所得税還付を受けても、10万円の給付金を逃せばトータルで赤字です。
非課税世帯であれば高額療養費の上限額が低く抑えられていますが、課税世帯になるとこの上限が引き上げられ、いざという時の医療費負担が倍増するリスクがあります。
質問者様は「非課税世帯の判定のため確定申告をしている」と仰っていますが、ここに大きな誤解があるかもしれません。
「住民税非課税証明書」が必要なだけであれば、所得税の確定申告(税務署への提出)は不要です。収入がゼロ(配当のみで申告不要を選択)の場合、お住まいの市区町村役場に「住民税の申告(所得がない旨の申告)」を行うだけで十分です。これにより、「所得0円」としての非課税判定が確定します。
もし、税務署へ「確定申告書」を提出し、そこに配当所得を書いてしまっているのであれば、それは「私は配当所得があります」と自ら宣言していることになり、非課税世帯から外れる手続きを自分で行っているようなものです。
結論として、住民税非課税世帯を維持したいのであれば、以下の対応を徹底してください。
2026年現在は、マイナンバーによる所得把握も厳密になっています。「確定申告をしたけれど、住民税だけ申告不要にする」という以前のやり方は通用しません。「非課税世帯を守るなら、配当は隠す(=申告しない)」が鉄則です。
免責事項:本記事は2026年2月時点の税制に基づいています。個別の税務判断については、管轄の税務署または税理士にご相談ください。