映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、その圧倒的な映像美とリアリティのあるモビルスーツ(MS)戦で多くのファンを魅了しています。特に、主人公ハサウェイ・ノアが駆る「Ξ(クスィー)ガンダム」と、ライバルであるレーン・エイムが駆る「ペーネロペー」の激突は最大の見どころです。
今回は、知恵袋などでもよく質問される「レーンの機体の正体」「2機の性能差」「パイロットを入れ替えたらどうなるのか」という疑問について、原作小説および映画の設定に基づき、2000字を超える詳細な解説をお届けします。
結論から言うと、レーン・エイムが搭乗していた機体は「ペーネロペー(PENELOPE)」です。しかし、質問者様が「最後はニューガンダムのように見えた」と感じたのは、非常に鋭い観察眼と言えます。
ペーネロペーは、実は単体のMSではなく、素体となるMSに巨大なフライト・ユニットを装着した形態の名称です。その素体となるMSの名前こそが「オデュッセウスガンダム」です。
劇中の終盤、ダメージを負ったり、あるいは特定の局面で外装(フライト・ユニット)をパージ(分離)した状態のオデュッセウスガンダムは、シルエットやカラーリングが従来のガンダムタイプ、特にν(ニュー)ガンダムに近い直線的なデザインをしています。ペーネロペーのあの「怪鳥」のような複雑なデザインは、あくまで追加ユニットによるものなのです。
クスィーガンダムもペーネロペーも、どちらもアナハイム・エレクトロニクス社で開発されました。この時代(U.C.0105)、MSは大型化の極致にあり、ミノフスキー・クラフトを搭載して大気圏内を自由に飛行することが開発の至上命題でした。オデュッセウスガンダムは、アナハイム社が「ガンダム誕生20周年」を記念して開発した試作機という側面もあり、デザインラインが原点回帰しているため、νガンダムに似て見えるのは必然と言えるでしょう。
「パイロットの技量が対等であればどちらが強いか」という問いに対しては、設定上「Ξ(クスィー)ガンダムの方が性能が上」と結論付けられます。その理由は、開発の時系列と技術の集約化にあります。
ペーネロペーは、ミノフスキー・クラフトを強引に後付けした「実験機」に近い側面を持っています。そのため、飛行ユニットが巨大化し、機体全体が非常に肥大化してしまいました。対してクスィーガンダムは、最初からミノフスキー・クラフトを機体構造に組み込んで設計された「完成形」の第5世代MSです。
総じて、ペーネロペーは「力業(ちからわざ)」で空を飛んでいるのに対し、クスィーは「スマートかつ効率的」に空を舞う機体と言えます。
質問にある「ペーネロペー・ハサウェイ」VS「クスィー・レーン」の組み合わせですが、これは非常に興味深いシミュレーションです。機体性能差が僅差(クスィー有利)であることを踏まえても、「ペーネロペーに乗ったハサウェイ」が勝つ可能性が高いと考えられます。
ハサウェイ・ノアは、第二次ネオ・ジオン抗争(逆襲のシャア)を最前線で経験し、アムロ・レイやシャア・アズナブルの戦いを間近で見てきた「実戦のベテラン」です。一方のレーン・エイムは、エリート教育を受けた若手テストパイロットであり、実戦経験(特にニュータイプ的な感応を伴う死闘)が圧倒的に不足しています。
劇中でも、ハサウェイは機体性能で圧倒するのではなく、デコイ(囮)を使ったり、相手の心理を揺さぶったりする戦術を多用します。もしハサウェイが性能で劣るペーネロペーに乗ったとしても、その「経験値」と「戦術眼」で、クスィーの性能に頼りきりになりがちなレーンの隙を突くでしょう。
ファンネル・ミサイルは精神エネルギーを消耗する兵器です。ハサウェイは限られた武装をいつ、どのタイミングで使うべきかという判断力が極めて高く、レーンがスペックを使いこなす前に勝負を決めてしまうでしょう。実際、劇中でもレーンはハサウェイのベテランならではの戦法に翻弄されていました。
『閃光のハサウェイ』におけるMS戦の本質は、単なるスペック競争ではありません。レーンの乗るペーネロペー(オデュッセウスガンダム)は最新鋭ながらもどこか未完成な美しさがあり、それを迎え撃つクスィーガンダムは「マフティー・ナビーユ・エリン」の覚悟を体現した完成された刃です。
機体性能ではクスィー、パイロットの腕ではハサウェイが上回っているため、どのような組み合わせになっても「ハサウェイが乗る側」が有利になるというのが、多くのガンダムファンの共通見解と言えるのではないでしょうか。
映画の続編では、さらに進化した戦闘シーンが期待されます。2機の更なる違いに注目して観返すと、新しい発見があるかもしれませんね。