X（旧Twitter）は、プラットフォームの機能やインターフェースを頻繁にアップデートしており、特にメッセージ機能（DM）においては、セキュリティと利便性を高めるための大きな変更が加えられています。
ご質問者様のように、ある日突然、特定のDMを開こうとした際に「パスコードを設定してください」という画面が表示され、設定後に従来のDM画面ではなく「チャット」のような新しいインターフェースに変わってしまい、戸惑うユーザーは少なくありません。
これは、Xが導入を進めている「暗号化されたダイレクトメッセージ（DM）」機能に関連している可能性が非常に高いです。
この暗号化チャットは、やり取りのセキュリティを強化するためのものですが、従来のDMとは異なるインターフェースや操作感を持つため、使いづらいと感じるユーザーもいます。
本記事では、このパスコード要求とDM画面の変化の具体的な原因、そして現在のXの仕様において、従来の使い慣れたDM画面に戻すことが可能かどうかについて、詳細に解説していきます。
パスコード要求とDM画面変化の真相：暗号化チャットの導入
特定のXアカウントのDMを開いた際に「パスコードを設定してください」という画面が表示され、その後に画面が「チャット」のような新しいインターフェースに変わった現象は、Xが順次導入している「暗号化チャット」機能が原因です。
暗号化チャット（End-to-End Encrypted Messaging）は、送信者と受信者以外の誰もメッセージの内容を読み取れないようにするための高度なセキュリティ機能です。
この機能を利用開始する際、Xはユーザーに対して、会話の復元やセキュリティの維持のために「パスコード」や「復元キー」などの設定を求めます。
このパスコードは、ユーザーが新しいデバイスで暗号化された会話にアクセスする際などに、本人確認として利用される重要な要素です。
なぜ別のアカウントでは通常のDM画面のままなのかというと、暗号化チャット機能は、現時点では全てのDM会話に自動的に適用されているわけではないためです。
この機能は、ユーザーが設定を有効にした特定のチャット、または特定のグループチャットでのみ利用可能となる場合が多いです。
また、利用できるデバイスや条件も限られていることがあります。
ご質問者がお取引に使用しているアカウントでこの画面が出たのは、おそらく、そのアカウントが暗号化チャットを有効にするための条件を満たし、システムによって設定が促されたか、あるいは意図せずその機能の有効化プロセスに入ってしまったためと考えられます。
暗号化チャットに移行すると、見た目や操作感が従来のDMとは異なるため、ご質問者が感じられたように「チャット」のような別の画面になったと感じるのです。
暗号化チャットの仕組みと従来のDMとの根本的な違い
暗号化チャットと従来のDMの最も大きな違いは、そのセキュリティレベルと情報の保存方法にあります。
従来のDMは、メッセージがXのサーバーを経由して送信・保存され、技術的には運営側がその内容にアクセスできる可能性がありました。
これに対し、暗号化チャットは「エンド・ツー・エンド」の暗号化を採用しており、メッセージは送信者のデバイスで暗号化され、受信者のデバイスでのみ復号されます。
Xのサーバーは、暗号化されたデータ（意味をなさない文字列）を運ぶ橋渡し役をするだけで、メッセージの内容を読み取ることはできません。
この高いセキュリティを維持するため、暗号化チャットは従来のDMとは異なる技術基盤の上に構築されており、その結果としてインターフェースも変更されています。
新しい「チャット」画面では、メッセージが暗号化されていることを示すアイコンが表示されたり、一部のDM機能（例えば、特定の過去のメッセージを検索する機能など）が利用できなかったりする場合があります。
これは、暗号化によってサーバー側でのデータ処理に制限が生じるためです。
また、暗号化チャットを利用するには、会話に参加する双方のユーザーがこの機能に対応した最新バージョンのXアプリを使用している必要があります。
このような技術的な制約が、従来のDMの自由度と使い勝手とは異なり、ユーザーに使いづらさを感じさせる原因となっているのです。
従来のDM画面に戻すことは可能か：現在のXの仕様
現在、Xの仕様において、一度暗号化チャットとして設定された会話を、ユーザー側から操作して**従来のDM画面（暗号化されていない状態）に直接戻すための簡単な設定やボタンは提供されていません**。
これは、セキュリティ機能である暗号化を、ユーザーの任意のタイミングで簡単に解除できてしまうと、そのセキュリティ上の意味が薄れてしまうためです。
暗号化チャットを開始した場合、そのチャットスレッドはその形式で固定されることが一般的です。
しかし、従来のDM画面に近い操作感に戻すための間接的な方法や、考慮すべき点があります。
一つ目の方法は、**新しいDMスレッドを開始する**ことです。
暗号化チャットは、通常、そのスレッド内でのみ適用されるため、別のお取引相手との間で新しいDMスレッドを開始すれば、それは通常のDMとして開始される可能性が高いです。
二つ目は、**暗号化チャットの機能自体を無効化する**設定がないか探すことです。
ただし、これはアカウント全体の設定であり、特定のスレッドのみを戻す機能ではありません。
もしアカウント設定で暗号化チャット機能を無効にできたとしても、既に暗号化された会話スレッドが従来のDMに戻るわけではなく、今後の新しいチャットが通常のDMとして開始されるだけになります。
現行のXの設計では、暗号化されたチャットは、高いセキュリティを保持するために、従来のDMとは別の特別な会話スレッドとして扱われていると理解するのが適切です。
チャット機能の使いづらさを解消するための設定と代替策
新しいチャット機能が使いづらいと感じる場合でも、そのインターフェースに慣れるための工夫や、従来のDMに近い体験を得るための代替策を試すことができます。
まず、**通知設定の見直し**です。
暗号化チャットでは、通知の設定が従来のDMとは異なる場合がありますので、通知が煩雑になっていないか、あるいは重要な通知を見逃していないかを確認しましょう。
次に、**「取引専用アカウント」の運用見直し**です。
もしそのアカウントが暗号化チャットの条件（例えば、特定の認証レベルのユーザー間のみで開始できるなど）を満たしているために機能が有効化されたのであれば、お取引の内容に応じて、暗号化の必要性がない相手とのやり取りは別の方法で行うことを検討しても良いかもしれません。
例えば、機密性の低い簡単なやり取りは通常のDMで、個人情報を含む重要なやり取りのみを暗号化チャットで行うといった使い分けです。
また、**Xアプリのバージョンを最新に保つ**ことも重要です。
新しいインターフェースは、初期の段階では使い勝手が悪いことがありますが、頻繁なアップデートによって改善されていく可能性があるためです。
もし、暗号化チャット機能がどうしても使いづらい場合は、取引相手に対して、新しい通常のDMスレッドを立ち上げてやり取りを継続することを提案してみるのも一つの現実的な解決策となり得ます。
まとめ：パスコード要求はセキュリティ強化のため、DM移行は不可
X（旧Twitter）のDM機能が突然「パスコードの設定」を求め、その後に「チャット」のような画面に変わったのは、アカウント間の通信のプライバシーとセキュリティを極限まで高めるための「暗号化チャット」機能が有効化されたためです。
このパスコードは、暗号化された会話の機密性を維持するために、ユーザーが設定する極めて重要なセキュリティキーの役割を果たします。
特定の取引アカウントでこの現象が起こり、使いづらさを感じているというご質問ですが、現在のXのシステムでは、**一度暗号化チャットとして開始されたスレッドを、ユーザーの操作で従来のDM（暗号化されていない状態）に戻すことは基本的にできません**。
暗号化チャットは、従来のDMとは異なる技術基盤上で動くため、相互に互換性がありません。
もし、従来のDMの使い勝手がどうしても必要であれば、暗号化されていない状態で新しいDMスレッドを作成し直すか、取引相手と相談して通常のDMでのやり取りを継続するよう試みるのが最善の策となります。
この機能はXのセキュリティ強化への取り組みの一環であり、ユーザーは高いセキュリティを得る代わりに、新しい操作感に適応していく必要があります。
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