インターネットやSNSで見かけることが増えた「全ア」という言葉。全ア界隈、全ア系、全ア廻戦といった形でも用いられており、若い世代を中心にじわじわと広がっています。なじみのない人にとっては、「全身アルマーニの略?」「誰か特定のキャラクターのこと?」と混乱を招くこともあるようです。実際のところ、このスラングにはいくつかの由来や解釈があり、文脈によって意味が変わるのが特徴です。本記事では、全アの由来や元ネタとされる説、SNSでの使われ方を分かりやすく整理してご紹介します。
まず有力とされるのが「全身アルマーニ」を略した表現です。高級ブランド「アルマーニ」で全身を固めたスタイルを指す言葉として、一部のファッション好きやネタ投稿から生まれたと考えられます。特にSNS上では、過剰にブランド品で身を包む人を揶揄したり、逆に憧れとして称賛する文脈で使われたりする場面が見られます。「全ア系男子」「全ア界隈」といった派生語も、この解釈に基づいています。もともとは笑いや皮肉を込めて用いられた表現ですが、ネットミームとして独自に広がり、若者文化の一部として定着してきたといえるでしょう。
一方で、全アには「全て〇〇が正しい」という形から派生した使い方も存在します。特定のキャラクターや人物を神格化するように語るオタク文化の中で生まれ、「全ア=全てアレン様が正しい」といった使い回しがされることがあります。アニメや漫画のファンコミュニティでは、推しキャラクターを絶対的存在として扱う際に、あえて略語の「全ア」を使ってユーモラスに表現するのです。このように、ファッション由来とは別ルートで意味が拡散しているのも全アの特徴といえます。
現在では「全ア界隈」「全ア系」「全ア廻戦」など、元ネタが必ずしも明確でない派生表現も多数生まれています。ときには呪術廻戦をもじって「全ア廻戦」と書かれることもあり、言葉遊び的な要素が強いのが特徴です。また、単に「全ア=カッコいい」「全ア=強い」といったニュアンスで用いられるケースもあり、若年層の間では「意味が分からなくても雰囲気で楽しむ」言葉として消費されている面もあります。こうした拡散のされ方は、インターネットスラング特有のもので、意味のあいまいさや解釈の多様性そのものが魅力になっているといえるでしょう。
結論からいえば、全アには「これが唯一正しい」という意味はなく、文脈によって解釈が異なります。ファッション文脈であれば「全身アルマーニ」が元ネタ、オタク文化の文脈では「全て〇〇が正しい」の略、といった具合です。そのため、SNS上で全アという言葉を見かけたときは、その前後の文脈や誰が使っているかを意識することが重要です。単なるジョークやネットミームとして楽しめばよい場合が多いため、過度に深読みせず「ネタ的なネットスラング」として理解しておくのが無難でしょう。
全アという言葉は、主に「全身アルマーニ」を略した表現から広がったとされる一方で、「全て〇〇が正しい」というファン文化由来の説も存在します。さらにSNS上では派生的に遊び心を持って使われるケースが増え、明確な定義を持たないまま拡散しています。結局のところ、全アは「ネットで使われるノリの言葉」として捉えるのが適切です。流行語やスラングは時代とともに意味が変容していくため、今後も全アの解釈が広がっていく可能性があります。気軽に楽しみながら、その場その場の文脈で理解していくのが賢明といえるでしょう。