近年、X（旧Twitter）を中心に話題になっているのが「イラストを立体フィギュア化するAI技術」です。
2次元のイラストをベースに、まるで本物のフィギュア写真のような3Dビジュアルを生成するツールやサービスが登場し、クリエイターやフィギュア好きの間で注目を集めています。
この技術は、AIによる画像生成と3Dレンダリング技術の融合によって実現しており、イラストをアップロードするだけで簡易的なフィギュア画像を生成できる点が魅力です。
本記事では、このAIフィギュア化技術の基本的な仕組みや活用法、実際の使い方、そして使用時の注意点などについて詳しく解説していきます。
イラストをフィギュアのような画像に変換する技術の中心には、画像生成AIと3DレンダリングAIの組み合わせがあります。
代表的な手法としては、入力されたイラストをもとにAIが立体的な形状や陰影、素材感（PVC風、光沢、プラスチック感など）を自動で予測し、それに基づいてリアルなフィギュア画像を作り出すものです。
これはStable Diffusionなどの画像生成モデルに専用のLoRA（Low-Rank Adaptation）やControlNetを組み込むことで、イラストの特徴を保ちつつ「立体物として見える」ように変換する技術です。
また、一部のモデルでは、フィギュア特有の台座、陰影、背景処理まで自動的に行われ、まるでプロの撮影スタジオで撮られたような作品が出来上がることもあります。
2025年現在、X上で話題となっている主なツールには、「DiffusionBee」「InvokeAI」「ComfyUI」といったStable Diffusion系ローカル生成ツールに、フィギュア向けLoRAを導入したものがあります。
また、Webベースで簡単に利用できるツールも存在し、特定のプロンプト（AIに与える命令文）を使えば、特別な知識がなくても生成可能です。
さらに、AIモデルの進化によって、”anime figure style” や “PVC figure photo” といったキーワードで精度の高い結果が得られるようになりました。
一方で、商用サービスとしてはまだ発展途上のため、主に趣味・SNS投稿用として使われているのが現状です。
とはいえ、将来的にはフィギュア製造のプロトタイピングや商品企画にも応用される可能性を秘めています。
AIでイラストをフィギュア風に変換する際の一般的なステップは以下の通りです。
まず、使用するイラストはキャラクターの全身が分かりやすく描かれているものが好ましいです。
次に、AI生成ツール（例：Stable Diffusion + ComfyUI）を起動し、適切なLoRA（例：「anime figure LoRA」）を読み込みます。
その後、プロンプトに「PVC figure photo, studio lighting, high quality, plastic texture」などを入力し、生成を実行します。
必要に応じて、ControlNetでポーズを指定したり、背景を透過に設定することで、より本物らしい仕上がりになります。
また、生成された画像にPhotoshopやCanvaなどの編集ツールで「台座」「影」「光沢」などを加えることで、さらにリアルなフィギュア風演出が可能です。
スマホでも使えるアプリも登場しているため、初心者でも比較的手軽に始められます。
AIによるフィギュア化は非常に魅力的な技術ですが、使用する際には著作権や利用規約に十分注意が必要です。
まず、元となるイラストが自作ではない場合、勝手にAI処理してSNSに投稿すると著作権侵害になる可能性があります。
特に同人イラストや二次創作に対しては、原作者の意図に反する形で利用されるとトラブルの元になります。
また、利用しているAIツールの規約にも注意が必要です。
一部のAIサービスでは、商用利用が禁止されていたり、生成物の所有権が運営側に帰属するケースもあります。
さらに、SNSで公開する際は「これはAIで生成したフィギュア風画像です」と明記することがマナーとなっており、誤解を避けるうえでも重要です。
他人の作品を勝手にフィギュア化して話題を取ろうとする行為は、クリエイターへの敬意を欠く行為となるため、慎重に対応する必要があります。
イラストをフィギュア風に変換できるAI技術は、創作の新しい楽しみ方を提供する素晴らしいツールです。
誰でも自分のキャラクターを立体化したような画像を手軽に楽しめる点で、多くのクリエイターやファンにとって魅力的な選択肢となっています。
しかし、その一方で著作権や使用ルールを軽視すると、大きな問題に発展する可能性もあります。
AI生成だからこそ、元の作者やAI開発者への敬意を忘れずに、節度ある使い方を心がけることが求められます。
今後、AI技術のさらなる進化により、本物のフィギュア製作へとつながるプロセスが簡略化される日も近いかもしれません。
それまでは、生成された画像を楽しむ段階で留めつつ、クリエイティブな遊びとして活用していきましょう。