2023年10月に設立されたヤスダグループは、スポーツイベント事業と教育・学習支援事業を二大中核に据えた新興企業集団です。
持株会社として設立された同社は、既存のグループネットワークを活かし、国内外クラブとの親善試合企画やジュニアアカデミー運営を手がけ、地域振興と人材育成を推進してきました。
ところが2025年7月には、ヴィッセル神戸対FCバルセロナ親善試合の主催に関わりながら、支払い保証書の不備を理由に突如中止となる騒動に直面。
本記事では企業沿革と事業モデル、来日中止問題の背景と企業対応、今後のリスク管理策までを整理し、ヤスダグループの現状と課題を解説します。
ヤスダグループは、2023年に持株会社として発足。
設立当初から、スポーツイベントの企画・運営を担う「イベント事業」と、サッカーアカデミーなどを運営する「教育・学習支援事業」に経営資源を集中させています。
イベント事業では、国内外クラブとの親善試合企画から会場設営、ファン交流プログラムまで一貫してプロデュース。
教育・学習支援事業では、ジュニアアカデミーやスクールを設置し、技術指導に加えて栄養管理やメンタルトレーニングのプログラムを提供し、次世代アスリートの育成に注力しています。
これらの事業を通じて、地域活性化とスポーツ文化の普及を目指す戦略を掲げています。
2024年1月、ヤスダグループはスペイン・リーガ・エスパニョーラのリアル・ソシエダと育成パートナー契約を締結。
同クラブのノウハウを活用したジュニアアカデミーを全国数都市で共同運営しています。
プログラムには戦術理解や技術練習のほか、栄養・フィジカル・メンタルトレーニングが統合され、定期的に現地コーチが来日して直接指導を実施。
また、学校や地域クラブと連携し、指導者研修や奨学金制度を整備して、スポーツ教育環境の底上げを図っています。
2025年7月に予定されていたヴィッセル神戸対FCバルセロナの親善試合は、
主催プロモーターが提出した支払い保証書の不備を理由にバルセロナ側が来日をキャンセルしました。
ヤスダグループは共催プロモーターの一社として関与していましたが、支払い不備を指摘され、中止決定に至った経緯が報じられています。
これによりチケット購入者や関係者に大きな混乱と損害が生じ、自治体やクラブ関係者からは契約管理の強化を求める声が上がりました。
現在、返金や損害賠償の協議が進行中であり、企業は正式な発表に向けて社内調査と関係者折衝を続けています。
騒動を受け、ヤスダグループはリスクマネジメント体制の再構築を進めています。
具体的には、契約締結前の法務チェックの厳格化、支払い保証書を第三者機関で検証する仕組みの導入、内部監査部門の権限強化などが検討段階にあります。
また、ステークホルダー向けに進捗やリスク情報を定期的に報告する制度を整備し、透明性向上を図る計画です。
これにより、スポーツイベント事業と教育支援事業の信頼性を高め、再発防止と企業価値の向上を目指します。
ヤスダグループは比較的新しい企業集団ながら、スポーツイベント事業と教育支援事業で存在感を示してきました。
リアル・ソシエダとの提携や国内アカデミー運営を通じて育成支援を推進する一方、FCバルセロナ来日中止問題で契約管理の課題が露呈。
今後はリスク管理体制を強化し、透明性を高める取り組みでブランド信頼を再構築するとともに、eスポーツや国際大会協賛など新規領域への挑戦を続け、スポーツパートナー企業としての成長を目指します。
注目の取り組みを今後も見守りましょう。